法人概要

産保法研は、産業保健法学の調査研究と普及を通じ、個人と組織の成長・適応を支援します。

―メンタルヘルス問題を抱える社員については、組織からの『切り捨て』ではなく、問題の所在を踏まえたうえでの適切な対応や支援である『切り分け』が必要です。そのためにも、合理的な手続きを打ち立て、公正に運用する手続的理性が求められます。―

 

 平成23年度独立行政法人労働政策研究・研修機構調査によると、6割弱の事業所が、「こころの問題を抱える正社員が職場にいる」と回答しています。そして、職場の対応の誤りなどから労使の信頼関係が築けず、訴訟に至るケースも少なくありません。

 そこで、産保法研は、労使双方の納得性の高い解決策を導き出すため、「精神的な不調の発症や悪化が業務上の要因によるものか、それとも本人要因などの業務外の要因によるのか」という視点と、「疾病障害の軽重」を客観的に分析し、4つの領域ごとに対応や支援を区別する「切り分け」と、それを図るための手続的理性の実践を提案しています。

 

【切り分けの重要性イメージ

切り分けの重要性イメージ

 具体的には、上図のとおり、業務上かつ軽度の場合(領域①)、業務上かつ重度(領域②)、業務外かつ軽度(領域③)、及び業務外かつ重度(領域④)の①~④の領域で、主な対応を区別します(なお、図に記載した対応は例示であって、全て事案にそのまま当てはまる訳ではありません。)。

 このような「切り分け」が求められる主な理由は、以下の通りです。

 第1に、うつ病等の発病や悪化が業務上の要因に基づくのであれば、労災、解雇制限、安全配慮義務違反に基づく損害賠償等で求められる対応が異なってきます。

 第2に、疾病の障害が軽度の場合は勤務の継続が可能ですが、重症の場合は休職や復職の問題が生じます。

 また、不調の背景に本人のパーソナリティや発達に関する問題があるケースでは、裁判例も法的救済に慎重になる傾向があるため、その問題の切り分けが求められます。

 産保法研は、このような「切り分け」を行うために必要な「手続的理性」を尽くし、メンタルヘルスのみならず、難治性疾患などの問題でも、予防と適正な事後対応を支援する法務の調査研究と、人材育成に尽力します。