vol.74 (2020年10月号)

●○━━━━━━━━━━━2020/10/21━━━

 【法研会員専用メールマガジン vol.74(2020年10月号)

       http://www.oshlsc.or.jp/app/

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一般社団法人健法学研究会事務局より、会員の皆様にメールマガジンvol.74(2020年10月号)をお届けいたします。

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 1)事務局からのお知らせ

 2)メンタル行政情報の歩き方

 3)三柴のつぶやき
 ~三柴のFacebookより~

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1)事務局からのお知らせ
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最後の検討会事例検討会を開催いたします。
ご都合がよろしければ、是非ご参加ください。

■第15回事例検討会(東京)
 日時:10月24日(土)13時30分〜17時00分(受付開始時刻:13時15分〜)
    場所: 中央区立業会館 3階展示室  【https://www.chuo-sangyo.jp/access
 事例内容:
  ・「過去に起きた業務上の過重性が強く疑われるパワハラ問題に業医がどの程度、どのように関わるべきかが問われている例」ほか

ご参加の場合、info@oshlsc.or.jpメールにてお申込みください。
折り返し事務局よりお手続きにつきましてご連絡致します。

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2)メンタル行政情報の歩き方
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こころの耳運営事務局長の石見より、職場のメンタルヘルスに関する厚生労働省などからの最新情報をお伝えします。

10月16日に第2回「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」が開催されました。

第2回「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14161.html

今回は、企業ヒアリング(大同生命と日本航空)と、各省庁からの概算要求状況の報告があり、検討課題としては、「テレワークの対象者を選定する際の課題」について、取り上げられました。

企業ヒアリング資料は、「資料1」にて公開されており、参考となる情報も多いです。
「資料2」の概算要求には、厚生労働省のみならず、総務省や経済業省、内閣府地方創生推進室などが名を連ねています。
特に身近なものとしては、厚生労働省の「人材確等支援助成金」に、「テレワークコース」が新設されるようです。
中小企業にとって、金銭的な面でのきっかけになるのではないかと思われます。

「資料3」は、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」です。
こちらは、もともと2018年2月に策定されました。
コロナ前に策定されたものではありますが、今も雇用管理等のベースはこのガイドラインに沿って行われていることが多いようです。
テレワークを行う場合においても、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償険法等の労働基準関係法令が適用されることを、改めて示すと共に、労働基準法の適用に関する留意点も示されています。

関連するパンフレットでは、ポイントを押さえてまとめられているので、併せて、確認してみてください。

情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/000545678.pdf
パンフレット(簡易版)
https://telework.mhlw.go.jp/wp/wp-content/uploads/2019/12/GuideLine.pdf
パンフレット(詳細版)
https://www.mhlw.go.jp/content/000553510.pdf

「資料4」は、「検討課題」についてまとめたものです。
P.2の論点にあるように、そもそも、「テレワークを希望しない者もいる(家では集中できない等)」や、「(出社率減
が会社の目標となっている等の場合には、本人の意図に反して)ずっとテレワークを命じられているようなケースもある」といったこと、また、「正規雇用労働者のみをテレワークの対象とし、非正規雇用労働者にはテレワークを認めていないケースがある」などは、よく耳にします。

個人的に最近感じることではありますが、昨年(2019年)、「働き方改革関連法」が施行されましたが、ある意味、今年(2020年)が、真の“働き方改革元年”だと言えるのはないでしょうか。
働き方そのものが、“コロナ感染症対策”と言う名の下で、半ば強制的に大きな変化を強いられることになりました。
今年2月下旬の学校一斉休校から、事務作業を中心とする一部の業種で「在宅勤務」や「時差出勤」などが徐々に行われつつも、4月には政府による「緊急事態宣言」によって、様々な業種で「出社禁止!」と言わんばかりに、なし崩し的に「在宅勤務」が開始されました。
その後、宣言解除と共に5月下旬以降は、徐々に出社が再開され、7月頃には多くの企業で通常勤務に戻っていった現状があります。

この間、ちょっとした工夫や対策で、自分たちの職種や業種でも在宅勤務可能であることが分かり、身支度や化粧などの出勤前の準備や、通勤時間そのものがなくなると共に、職場での電話対応や紙書面での業務など雑務が減ったことで、在宅勤務(テレワーク)のメリットを実感した方も多いと思います。
個人的には、今後、「在宅勤務」や「時差出勤」といった多様な働き方が、一般的になっていくと同時に、従業員自身がライフキャリアの中で、働き方を選択できる会社が、採用等で優秀な人材を集め、生き残っていくのではないかと考えています。
働き方の変化に伴う新たなこれらの課題に対して、企業や総務担当者などは、システム的な体制変更のみならず、従業員個々人のメンタルヘルス対策も必要になって来ると思います

「これからのテレワークでの働き方」は、これからのメンタルヘルス対策にも関連してくると思い、今回は重点的にとりあげさせていただきました。

あと、もう1点。
脱ハンコの流れの中で、定期健康診断結果報告書等の医師等の押印が不要になりました。
こちらの情報、まだ広く知られていないようですが、8月28日に改正労働安全衛生関係法令が施行されて、下記のとおり、厚生労働省からパンフレットが公開されています。

厚生労働省パンフレット「健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります。」
https://www.mhlw.go.jp/content/000673020.pdf

その他、最新情報に関しては、最近頻繁に情報更新している「こころの耳」の「メンタル情報Now」も併せてご参照ください。

メンタル情報”Now”
https://kokoro.mhlw.go.jp/now/

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3)三柴のつぶやき
 ~三柴のFacebookより~
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今日のゼミナールでは、【有期雇用契約の原則禁止の是非】について議論した。
以下、経過を記す。

【反対側】
・日本は日本で、独自の文脈を踏まえて、時間をかけて、非正規格差問題に対応してきた。
働き方改革を経た現在では、パート・有期雇用法で、正規労働者との均衡(第8条)、均等(第9条)に待遇すべき原則をルール化し、「1.職責を含む職務内容」、「2.融通が利くか」の2点が正規と同じなら、「3.その他の事情(成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、労使交渉の経緯等)」がない限り、同じ処遇をすべきことが使用者に義務づけられている。
有期契約期間が5年以上に及ぶ場合の無期転換ルールや、雇止めが不合理と認められる事情がある場合の雇止めを規制する法理(雇止め法理)も法定された。
制度基盤の異なる外国の原則をいきなり導入するより、こうした努力を継続するほうがリスクが少ないし、実効的。

・海外では、元々入口規制(有期雇用をすること自体を規制する方式)をしていたスウェーデンやドイツのような国々も、失業者増により、出口規制(有期雇用を不当に継続した等の場合に、無期雇用化等の措置を講じさせる方式)にシフトしてきている。
フランスは、入口規制をっているが、そもそも、業・企業レベルでの労使合意により、規制を緩和できる仕組みとなっている。

・不用意な有期契約の入口規制は、使用者にコストを生じ、新規採用抑制、失業者増を招きかねない。
人材派遣業への悪影響も予想される。

・無理矢理の無期雇用化は、賃金等の労働条件は非正規のままで、職責が重くなる一方、契約期限だけがなくなる無期非正規(名ばかり無期雇用)を生み出しかねない。
また、名ばかり無期雇用の誕生により、本来、正規社員になれた労働者がそのまま留め置かれるリスクも生じる。

これまでの年功的な賃金処遇制度から成果主義賃金制度に改める企業が増え、目に見えやすい短期的な成果による賃金格差が増大する危険もある

・労働者の職責が重くなり、気軽に働く選択肢が奪われる可能性がある。

【賛成側】
・日本において、有期契約や間接雇用という法形式が採られることが多い非正規雇用は、「安くて切り易い」を実現しようとする経営者の策動により、一種の組織内身分(格下かよそ者扱い)になっており、彼/彼女らへの軽視が、賃金(所期設定の低さ、昇給制限など)のほか、キャリア形成支援や福利厚生などに典型的に現れている。
よって、有期契約原則禁止くらいのショック療法を講じて、「文化」を変えなければ、実効的な対策にはなり得ない。

・現に、等価所得によるジニ係数の国際比較の結果をみても、日本の非正規・正規の所得格差は、OECD加盟国の中で、上位5番内にある。
最近の働き方改革による有期雇用法制の改正で、使用者は、正規社員との処遇格差の説明責任を負うこととなったが、四苦八苦している例が多い。
すなわち、格差の合理的な理由はないことが多い。「非正規」という経営者が人件費削減のために造成した「枠組み」こそが、格差の本質的な理由である。

・経済原則から言えば、本来、非正規に対して、雇用不安のリスク・プレミアムが支払われてしかるべきところ、逆に所得格差が設けられているのは不当である。

・1985年頃には600万人程度、2000年頃に1000万人程度だった有期雇用者は、2020年には2000万人を超え、雇用労働者数全体の38%にも達している。
それも、若年層、壮年層から高年齢層まで、まんべんなく非正規雇用が増えている。ことに高年齢層の増加が著しい。
これは、高齢者雇用安定法が65歳までの雇用を使用者に義務づけたため、嘱託雇用が増えていることによると解される。
つまり、非正規問題は国民にとって充分にメジャーな問題である。

・最大の問題は、不本意に非正規になっている労働者である。
不本意な失業は、精神的にも労働者に打撃を与える。
「安くて切り易い」を実現するために、不安定雇用を積極的に選択している雇用者は、倫理的にも問題を犯している。

・所得再分配機能という観点でみると、日本の税・社会障政策は、65歳以上の高齢者では機能しているが、若年、壮年層では殆ど機能していない。
つまり、その年齢層では、不安定雇用から失業しても貧困を回避できない。
かといって、雇用されていても、非正規雇用では、十分な所得を得にくい。

・有期雇用、間接雇用は、法律論的には、「誰とどう契約を結ぼうが当事者の自由」という契約自由の原則に基づいているが、当事者間の経済的、知的な格差等が背景にあって、実質的には契約の不自由、不正義を生んでいる。

・非正規雇用者は、経営者から軽く見られがちなために、能力開発も充分に行われ難いことが、厚生労働省の能力開発基本調査でも明白である。
パート・有期雇用法等で、教育訓練の均等・均衡も定められてはいるが、経営者の意識を変革するには至らない。

・以上から、「安くて切り易い」に切り込むには、「雇用は原則的に無期」とすることが避けられない。

(10月14日掲載)


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【事務局】
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次号もどうぞお楽しみに。

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